喜劇女優の死

 芸能界とは一見無縁とも見られる孤独死。しかし、一度は華やかな表舞台に立ちながら、寂しい死を迎えた芸能人も少なからず存在する。テレビや舞台で活躍した喜劇女優の桜京美もその一人である。



 桜京美は5歳で歌手デビューし、戦後は劇団に入って喜劇女優となった。1958~1964年のテレビ番組『お笑い三人組』の真知子役で人気を得た。一方で映画やアニメ、人形劇の声優としても活躍していたが、病気などを理由に1985頃から芸能界から離れ、千葉県山武郡大網白里町に移り住んだ。


 1989年1月6日、自宅でこたつの脇でうつ伏せに倒れて死亡しているのを発見された。その遺体は腐乱しており、吐血の跡もあった。部屋に残されていた手帳には「だるい」「血便が出る」などと書き残されており、その手帳の日付が11月10日で途切れていることから、その頃に孤独死し、それからおよそ2ヶ月もの間気付かれずにいたようである。傍では愛猫の「パール」も餓死していた。

 ちなみに同業者でもある小桜京子とは名前が似ているためよく混同されたが、桜が死去した際、小桜の元に献花が届いた、というエピソードもある。