若松孝二

若松孝二(わかまつこうじ 本名:伊藤孝 1936年4月1日生)
 [映画監督/脚本家]



 宮城県出身。農業高校二年時中退、家出し上京。職人見習いや新聞配達、ヤクザの下働きなどを経験。1957年、チンピラ同士のいざこざから逮捕され、半年間、拘置所に拘禁され執行猶予付の判決を受ける。その後、職を転々としテレビ映画の助監督になる。1963年にピンク映画の企画が巡って来た事が転機となり、ピンク映画『甘い罠』で映画監督としてデビュー。低予算ながらもピンク映画としては異例の集客力をみせた。1965年に「若松プロダクション」を創設し、『壁の中の秘事』(1965年)や『犯された白衣』(1968年)をはじめとする100本以上のピンク映画を手がけ、「ピンク映画の巨匠」と称された。

 1970年代以降はプロデュース業が中心となっていたが、『水のないプール』(1982年)で久々の監督作品を発表。以降一般作品として『エロティックな関係』(1992年)、劇作家つかこうへいの戯曲を映画化した『寝盗られ宗介』(1992年)、『エンドレス・ワルツ』(1995年)などの意欲作を発表。連合赤軍をテーマにした作品『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(2007年)は、第20回東京国際映画祭にて「日本映画・ある視点 作品賞」を受賞。第58回ベルリン国際映画祭において最優秀アジア映画賞と国際芸術映画評論連盟賞を受賞。毎日映画コンクールで監督賞、日本映画評論家大賞で作品賞を受賞した。

 2010年、寺島しのぶ主演『キャタピラー』では主演の寺島がベルリン国際映画祭の主演女優賞を受賞した。国内では「第2回TAMA映画賞」特別賞と、新藤兼人賞・SARVH賞2010の最優秀プロデューサー賞である「SARVH賞」を受賞した。2012年には三島事件をテーマとした、『11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち』、続けて船戸与一原作の『海燕ホテル・ブルー』を制作。また同年には中上健次原作、寺島しのぶ主演で『千年の愉楽』を制作し、2013年春の公開を控えていた。

 2012年10月12日午後10時15分ごろ、東京都新宿区内藤町の横断歩道のない都道を横断中、左から来たタクシーにはねられて腰などを強く打った。当初の報道では命に別状はないとされていたが、実際には病院搬送時から意識不明の状態が続いており、17日午後11時5分、入院先の病院で死去した。

 2012年10月17日死去(享年76)