デニス・テン

デニス・ユーリエヴィチ・テン(Denis Yuryevich Ten 1993年6月13日生)
 [カザフスタン・フィギュアスケート選手]



 アルマトイ出身。5歳の時、母親の希望によりスケートを始める。9歳の時、ロシアのオムスクで行われた大会で優勝した際に、ジャッジのひとりから旧ソ連地域内の低年齢競技者を対象とした競技会「クリスタルスケート」に招待された。この大会でエレーナ・ブイアノワと出会い、彼女が指導するサマーキャンプに参加するようになった。10歳の時、ブイアノワの勧めで母親と共にロシアに移住。2004年から2010年までの7年間モスクワでブイアノワとタチアナ・タラソワから本格的な指導を受けた。

 2013年はシーズンを通じて、右足首の怪我に悩まされていたものの世界選手権ではSP、FSともにパーソナルベストを大きく更新する出来で2位。カザフスタンにISUチャンピオンシップスで初めてのメダルをもたらした。2014年ソチオリンピックではSP9位と出遅れるも、FS3位となり総合3位で銅メダルを獲得した。なお、カザフスタンの選手としては初のフィギュアスケートのメダリストとなった。

 2015年、エリック・ボンパール杯で自身初のグランプリシリーズのメダルを獲得。韓国で開催された四大陸選手権では2位に30点近い大差をつけ優勝した。カザフスタンに初めて四大陸選手権のメダルをもたらした。世界選手権では3位となり、世界選手権で2つ目のメダルを獲得した。2018年の平昌冬季五輪では2月16日に行われたフィギュアスケートの男子シングル・ショートプログラムで70.12点で27位に終わり、フリースケーティングに進めなかった。

 2018年7月19日、故郷アルマトイ中心部で友人との食事を終えたばかりのテンは、駐車しておいた自家用車のミラーを盗もうとしていた男二人組と争いになり右大腿部など複数箇所を刺された。その後意識が無い状態で通行人に発見され、ただちにアルマトイ中央病院の救急センターへ搬送されたが、数時間後に死亡が確認された。死因は出血性ショックであった。テンの訃報は世界中に伝えられ、スケート関係者を始めとする多くの著名人が自身のSNSなどで哀悼の意を表明し、その優しい人柄を偲んだ。21日に同市内のスポーツ施設で市民葬が行われ、遺体はアルマトイ近郊のドルジバ村の墓地に埋葬された。

 その後、現地警察は容疑者二人を逮捕したことを発表した。共に犯行を認めたが、相手が有名なアスリートだったことは知らなかったという。

 2018年7月19日死去(享年25)