剣持勇

剣持勇(けんもちいさむ 1912年1月2日生)
 [インテリアデザイナー]



 廉価なうえに高機能を求められることの多いインダストリアルデザイン分野で手腕を発揮し、1958年に発表された積み重ね可能な「スタッキング・チェア」と呼ぶ椅子は普及品として今なおベストセラーの地位を維持している。1961年に発表されたラタンチェアーは日本の家具としては初めてニューヨーク近代美術館の永久収蔵品に加えられた。

 丹下健三設計の香川県庁舎のインテリアデザインや、ホテルニュージャパンの内装を手がける。「グッドデザイン」運動を推進するなど、日本のインテリアデザインの草創期を築いた。1968年には、日本航空の航空旅客機ボーイング747のインテリアを担当した。

 1971年6月3日、新宿区にある剣持デザイン事務所の事務室でガスストーブのゴム管を外してガス自殺を図った。苦しんでいるところを所員が見つけたがその後死亡した。「僕の心のように意思と体が動かない」といった内容の遺書が残されており、仕事の多忙さで過労による自殺と思われる。

 1971年6月3日死去(享年59)