ラモン・サンペドロ

ラモン・サンペドロ(Ramon Sampedro 1943年1月5日生)
 [スペイン・漁師/尊厳死活動家]



 スペインの北西部ラ・コルーニャ県生まれ。22歳でノルウェーの商船に整備工として乗り組み、世界を旅する。1968年8月23日、岩場から海に転落、海底に頭部を強打し、第七頸椎を骨折し、命は取りとめたが、首から下が全く動かせなくなり、以後26年間寝たきり生活をしていた。

 自身が半身不随だったため、尊厳死をはかること及びその介助を社会的に認めるよう活動し続けた。また、手記「Cartas desde el infierno(地獄からの手紙)」を執筆し、映画「海を飛ぶ夢」のモデルになった。

 スペインで最初に尊厳死を求める運動を始めた人物である。スペイン国刑法では当時から一貫して尊厳死の介助を罪に問う姿勢を崩していないため、半身不随の身では自殺も図れないとして裁判に訴えた。彼の要求をきっかけに、安楽死が社会的問題として注目を集める事となった。現行スペイン国刑法143章4項によると「死に至る病を患っていたり、堪え難い苦痛をこうむっており、自死を真剣かつ明確に希望している人物の死を直接・間接的に引き起こし、または幇助した者は、間接的に関わった場合2年から5年の懲役、直接の場合6年から10年の懲役に処す」となっている。

 1998年1月、家族と住んだ家を離れ、近郊の村ガリシア州同県ボイロにて青酸カリを服用し、自殺した。この際友人のラモーナ・マネイロの介助を得ており、彼女は自殺直後に警察に逮捕されたが、証拠不十分で釈放された。彼女は容疑の時効が成立した7年後に自身が介助及びビデオ撮影したことを正式に認めた。

 1998年1月12日死去(享年55)