マルテ・アノー

マルテ・アノー(Marthe Hanau 1884年生)
 [フランス・投資家]



 パリで衣料店を経営する母の娘に生まれた。24歳で結婚したが、持参金の30万フランを夫に使い果たされ、離別した。その後『フランス・ガゼット』という刊行物を発行し、有名人の署名の写真を利用して多くの投資家を集め、自分の贅沢な生活にあてた。銀行も彼女の投機に協力したが、ライバル銀行の調査によって、彼女が扱っている株のほとんどが仲間内の実態のないペーパーカンパニーのもので、詐欺的行為であると非難された。

 政治家に賄賂をおくって噂の火消しを図ったが、詐欺師として1928年に訴えられ、裁判に2年がかかり、この間に投資家の何人かは自殺した。有罪となったが、信頼する召使いの差しいれた道具で刑務所から脱出。その後再度逮捕されると、自動車事故で片足を失い、すでに気力も体力も衰えており獄内で服毒自殺した。葬儀にはいまだ彼女を信頼していた投資家が数人列席していたという。

 1935年7月19日死去(享年51)