ザ・マミー

ザ・マミー(The Mummy 本名:ベンジャミン・ラミレス 1932年1月2日生)
 [コロンビア・プロレスラー]



 1961年にテキサス地区に現れた覆面レスラーで、ホラー映画のミイラ男をギミックとしており、全身を薄汚れた包帯で覆った怪奇派ヒールとして話題を集めた。1964年4月に日本プロレスに来日している。後に素顔のベンジー・ラミレスまたはザ・キラーなる別の覆面レスラーとして国際プロレスに度々参戦した。

 1995年12月20日、搭乗していたアメリカン航空965便がコロンビアのカリ郊外のアルフォンゾ・ボニラ・アラゴン国際空港へ着陸するため降下中に機体が山に激突して159名が死亡。彼も犠牲となった。

 事故原因は、機長たちのミスによるものであった。事故機は着陸進入に先立ち着陸滑走路を01から19に変更するか管制官に尋ねられた。事故機の位置から当初予定されていた01滑走路に降りるには大きく迂回する必要があったが、19滑走路ならば直進して進入でき、時間短縮が期待できたからである。マイアミを発つ時点で既に大きく遅れていた同機はこれを承諾し、これにより無線中継ポイント「カリVOR」を経由せず別の中継点である「ロゾNDB」に向かうコースを自動操縦装置に入力する必要が生じた。ところがその際、航空チャートには「ロゾNDB」のコードとして「R」と記されていたが、本機の自動操縦装置は経由地に1文字のアルファベットが入力されるとその文字で始まる最も使用頻度の高い候補を自動的に選択するプログラミングがなされており、カリから約132マイル東北東にある「ボゴタ」近くの中継ポイント「ロメオNDB」の「ROMEO」が自動選択されてしまった。ロゾを指定するにはフルスペルのROZOと入力する必要があったが、機長はこれに気づかず、自動操縦によって「ロメオNDB」へ進路が変わったことにも気づかなかった。そのため機体は大きく左に旋回して山岳部に向かった。約1分後、機長たちは迷走に気づいて進入経路に戻ろうとしたが、この結果機位を失して誤った峡谷に入り込んでしまい、965便は標高約2700mのエル・ディルビオ山を躱せず山頂付近に墜落した。

 不運なことにこの日、管制塔のレーダーがコロンビアの反政府組織に破壊されており使用できず、管制官は事故機が進入経路をはずれたことを把握できなかった。また、管制官は機長らとの交信内容から何かがおかしいことを察知したが、スペイン語の話者であり管制用語以外の英語に疎かったため、状況を深く問い質して誤りを明らかにすることができなかった。墜落2秒前に対地接近警報装置(GPWS)が作動したが、降下のため展開していたスポイラーを戻さず上昇しようとした。事故後の初期調査では、仮にGPWS作動後1秒以内にスポイラーを戻していた場合、山脈を越えられた可能性があると指摘された。但しシミュレータを用いて実施した再現試験では決定的な結論は出なかった。

 1995年12月20日死去(享年63)