一ノ瀬泰造

一ノ瀬泰造（いちのせたいぞう　1947年11月1日生）
　［報道写真家］


　佐賀県生まれ。佐賀県立武雄高等学校時代は野球部に所属し、甲子園に出場。日本大学芸術学部写真学科卒業後、UPI通信社東京支社に勤務。半年の試用期間の後UPIを解雇され、フリーランスの戦争カメラマンとして活動を開始。1972年3月、ベトナム戦争が飛び火し、戦いが激化するカンボジアに入国。以後ベトナム戦争・カンボジア内戦を取材、『アサヒグラフ』や『ワシントン・ポスト』など国内外のマスコミで活躍し、「安全へのダイブ」でUPIニュース写真月間最優秀賞を受賞した。

　カンボジア入国以後、共産主義勢力クメール・ルージュの支配下に有ったアンコールワット遺跡への一番乗りを目指しており、1973年11月、「うまく地雷を踏んだら“サヨウナラ”！」と友人宛に手紙を残し、単身アンコールワットへ潜入するも、そのまま消息を絶つ。

　9年後の1982年、一ノ瀬が住んでいたシェムリアップから14km離れた、アンコールワット北東部に位置するプラダック村にて遺体が発見され、両親によってその死亡が確認された。その後、1973年11月22日もしくは23日にクメール・ルージュにより捕らえられ、処刑されていたことが判明した。26歳の誕生日を迎えたわずか8日後の事であった。

　彼の生きざまは書籍や舞台などになり、1999年には浅野忠信主演・五十嵐匠監督による劇映画『地雷を踏んだらサヨウナラ』によって若者の間でブームとなった。現在、処刑された現場であるシェムリアップ州には村人が立てた「墓」がある。

　1973年11月29日死去(享年26)