佐藤真

佐藤真(さとうまこと 1957年9月12日生)
 [映画監督]



 青森県生まれ。2歳で家族が上京。千葉県松戸市のマンモス団地でものごころつき、東京都練馬区石神井で育つ。東京大学文学部哲学科在学中より水俣病の運動に関わり、香取直孝監督の『無辜なる海 1982年・水俣』の助監督となる。1984年に、その映画の自主上映の途中で、阿賀野川とそこに暮らす人々と出会い、映画作りを決意する。各務洋一監督に私淑した後、1989年からスタッフ7人と新潟に2年間移り住んで住民と密着して暮らし、1992年に初の監督作品『阿賀に生きる』を完成させ、絶賛される。キネマ旬報ベストの3位になる他、内外の映画賞で高い評価を受け、また芸術選奨新人賞映画部門を受賞。その後、テレビ、映画の編集・構成などの仕事をしながら、ドキュメンタリー映画を撮り続けた。また、1999年より映画美学校で、2001年より京都造形芸術大学で、ドキュメンタリー映画を教えた。

 ドキュメンタリー映画に関する著作も多数執筆。2002年8月からは、文化庁派遣芸術家在外研修員として、1年間イギリスに滞在。その記録を著書『まどろみのロンドン』にまとめた。だが、2006年11月から鬱病で入退院を繰り返し、2007年8月31日に抗うつ薬の大量服用で自殺未遂、2007年9月4日に成増厚生病院から逃走し、東京都板橋区の高島平団地で飛び降り自殺を遂げた。なお、2008年5月31日に行われた「日本映像民俗学の会 研究会」において、「佐藤真の映像民俗学の世界を見る」という上映企画が行われた。そのイベント内で、生前の佐藤と親交があった吉松安弘(映画監督/ノンフィクション作家)から、佐藤の遺作である『映画監督って何だ!メイキング』(2006年)の編集方針について、制作元である「日本映画監督協会」幹部との間で激しいやりとりがあり、佐藤が本意としない形で作品が完成させられていたことが明かされた。同イベントでは、佐藤自身の編集による未公開ヴァージョンの『映画監督って何だ!メイキング』が上映された。

 2007年9月4日死去(享年49)