吉村昭

吉村昭(よしむらあきら 1927年5月1日生)
 [小説家]



 東京生まれ。学習院大学中退。1966年、『星への旅』で太宰治賞を受賞。同年発表の『戦艦武蔵』がベストセラーとなり、歴史小説作家としての地位を確立、同作品や『関東大震災』などにより、1973年に菊池寛賞を受賞した。以来、現場、証言、史料を周到に取材し、緻密に構成した多彩な記録文学、歴史文学の長編作品を次々に発表した。主な作品に『ふぉん・しいほるとの娘』(吉川英治文学賞)、『冷い夏、熱い夏』(毎日芸術賞)、『破獄』(読売文学賞、芸術選奨文部大臣賞)、『天狗争乱』(大佛次郎賞)等がある。

 晩年の2005年春に舌癌と宣告され、さらにPET検査により膵臓癌も発見され、2006年2月には膵臓全摘の手術を受けた。退院後も短篇の推敲を続けたが、新たな原稿依頼には応えられなかった。同年7月30日夜、東京都三鷹市の自宅で療養中に、看病していた長女に「死ぬよ」と告げ、みずから点滴の管を抜き、次いで首の静脈に埋め込まれたカテーテルポートも引き抜き、数時間後の7月31日午前2時38分に逝去。遺稿「死顔」は、『新潮』 2006年10月号に掲載された。

 2006年7月31日死去(享年69)