多島斗志之

多島斗志之(たじまとしゆき 本名:鈴田恵 1948年10月24日生)
 [小説家]



 大阪府出身。早稲田大学政治経済学部を卒業。広告代理店勤務、フリーの広告制作ディレクターを経て作家となる。

 処女作は1982年の『あなたは不屈のハンコ・ハンター』であるが、これは多島健名義で発表している。なお、本作は第39回小説現代新人賞を受賞している。また『密約幻書』で第101回直木賞候補、『不思議島』で第106回直木賞の候補作となった。

 『海賊モア船長シリーズ』のような海洋冒険小説や映画化されたミステリー『クリスマス黙示録』、多重人格を取り扱って話題となった『症例A』、純愛小説の『離愁』など幅広い作風で知られている。『少年たちのおだやかな日々』所収の『罰ゲーム』は『世にも奇妙な物語』で、『言いません』および『言いなさい』は『悪いこと』で映像化されている。

 2009年12月19日に滞在していた京都市内のホテルを出たのを最後に行方がわからなくなり、家族が伏見警察署に捜索願を出す騒ぎとなっている。多島は1989年頃に右目を失明しており、2009年12月18日、弟や長女に「1カ月前から左目も見えにくい。この年で両目を失明し人の手を煩わせたくない。失踪する」との速達が届き、同19日には友人や出版社に「筆を置き、社会生活を終了します」との手紙が届いたと報じられている。