バド・パウエル

バド・パウエル(Bud Powell 本名:アール・ルドルフ・パウエル 1924年9月27日生)
 [アメリカ・ジャズピアニスト]



 ニューヨーク生まれ。パウエルの祖父はギタリストで、父はピアニスト、兄はトランペット奏者という音楽一家で育つ。パウエルは最初はクラシックの勉強をしていたが、アート・テイタムらの影響でジャズに興味を持つようになり、15歳になる頃には兄のいるバンドでピアノを弾くようになっていた。

 スイング・ジャズ系ピアニストの中でもモダンなスタイルを持つアール・ハインズやビリー・カイルの影響を受けた右手の高速なシングルトーンと、頻繁なコードチェンジに対応するため左手はコードプレーに徹するという、ビバップに最適化された新たな演奏スタイルを確立した。

 1940年代後半から1950年代初頭にかけて音楽面の最盛期を迎えるが、1950年代中期以降は麻薬やアルコールなどの中毒に苦しみ、精神障害(統合失調症)を負う。しかしながら、不調期の録音においても、呻き声を発しながらの鬼気迫る演奏を聴くことができる。

 1960年代初頭は本国アメリカに一種のジャズ不況が訪れ、多くのジャズメンがヨーロッパに活動の場を移した時期であるが、パウエルもまたフランスに渡って活動を続ける。良好な環境と好意的な聴衆に支えられて麻薬禍からは脱却するが、既に体はボロボロであり、1966年アメリカに帰国した後にニューヨークで死去。死因は結核、栄養失調、アルコール中毒であったという。

 1966年7月31日死去(享年41)