三原順

三原順(みはらじゅん 本名:鈴木順子 1952年10月7日生)
 [漫画家]



 北海道出身。中学生の頃から漫画を描き始める。札幌南高校在学中、『別冊マーガレット』(集英社)まんがスクールに投稿するが、結果は5段階評価の下から2番目。卒業後、地元企業に就職、合間に執筆、投稿を続ける。しかし、独自の作風は「わかりにくく一人よがりなストーリー」と厳しい評価。14回の投稿の後、1973年に『別冊マーガレット』に掲載の『ぼくらのお見合い』でプロデビュー。三原順のペンネームは、ファンであったグループサウンズバンド「ジャッキー吉川とブルーコメッツ」のギタリスト・ボーカリスト三原綱木にちなむ。

 1975年から1981年にかけて、『花とゆめ』(白泉社)誌上で『はみだしっ子』を連載。4人の少年達の心の彷徨を描いた同作品は、魅力的なキャラクターと劇的なストーリー展開で人気を集め、10代の少女を中心に熱狂的な支持を受けた。

 作品テーマは常に社会や人間を深く掘り下げ、独特の深い洞察力で言葉を尽くして描かれたネームの多い作風が特徴であり、作中に文章のみで構成されたページもある。また、執筆当時は社会にあまり広く知られていなかったトロイの木馬などのクラッキング技術や、ポートフォリオなどの金融技術、マーフィーの法則などの知識を物語の背景として入れており、徹底した調査を行ってストーリーを構成した。その一方で、『はみだしっ子番外編』『ルーとソロモン』などの作品ではコミカルな一面も見せ、「グレアムペンギン」などの愛らしいデフォルメキャラも登場させている。

 その他の代表作に、『ルーとソロモン』、『ラストショー』、『ロング アゴー』、『ムーン・ライティング』、『Sons』など。原発問題をテーマにした1982年の作品『Die Energie 5.2☆11.8』は、後の2011年に発生する東日本大震災によりネットなどで話題を呼ぶこととなる。

 1993年、『ビリーの森ジョディの樹』を、『別冊花とゆめ』(白泉社)に連載開始。新たな長編シリーズとなるはずだった。しかし、1995年3月20日、病気のため急逝、未完の遺作となった。

 彼女が亡くなった日は、オウム真理教が起こした地下鉄サリン事件の余波で、新聞等に死亡記事が載らなかったため、彼女の訃報を後日知ったファンも少なくなかったという。死因は病死だが、一部では自殺説も囁かれているが真意のほどは定かではない。

 1995年3月20日死去(享年42)