ハリー・マーティンソン

ハリー・マーティンソン(Harry Martinson 1904年5月6日生)
 [スウェーデン・小説家/詩人]



 スウェーデン南東部のブレーキンゲ地方生まれ。幼い時に両親を失い、里子として育った。16歳の時に脱走して船に乗り込み、翌年はブラジルやインドなどを回りながら世界中を旅して過ごした。数年後、彼は肺の病気のためスウェーデンに帰国することを余儀なくされた。そしてこの翌年は定職に就くこともなくスウェーデン国内で浮浪者として過ごした。21歳の時にはマルメの町で浮浪罪で逮捕された。彼は1929年に詩人としてデビューした。アルトゥール・ルンドクビストらとともに詩集を刊行し、スウェーデンにモダニズムを紹介した。彼の詩には自然への愛と鋭い視点、ヒューマニズムへの深い思いがあった。彼は若い頃の辛い時代を描き1935年に出版した半自伝的小説「Nasslorna blomma」で小説家としても評価を得た。この小説は30ヶ国語以上に翻訳された。彼の最も有名な詩は、宇宙で遭難し漂流する宇宙船を描いた「Aniara」という作品で、これは1956年に出版され、1959年にはカール・ビルイェル・ブロムダールによりオペラ化もされた。

 彼は1949年にスウェーデン・アカデミーのメンバーに選ばれ、1974年にエイヴィンド・ユーンソンとともにノーベル文学賞を受賞した。ユーンソンとマーティンソンは2人ともノーベル賞委員会に所属していたため、彼らの受賞は論議を呼んだ。この年には彼ら2人の他にグレアム・グリーン、ソール・ベロー、ウラジーミル・ナボコフらが有力な候補だった。1978年2月11日、ノーベル賞をめぐる批判に耐え切れなくなったマーティンソンはストックホルムのカロリンスカ大学病院で、はさみで自分の腹を切り裂いて自殺した。2004年には、彼の生誕100周年がスウェーデンで盛大に祝われた。

 1978年2月11日死去(享年73)