死体買収求人

反骨のジャーナリスト、社会風俗史研究家の宮武外骨は59歳のとき、朝日新聞の「探しもの」欄に〈自分の死体買収人を求む〉という広告をだした。



 「自分は墓を建てない。子供もいないため宮武という姓も廃するが、自分の肉体を片付けることを心配している。友人達が何とかしてくれるだろうとは思うが、墓を建てられると今の主張に反する。自認稀代のスネモノ、灰にして捨てられるのも惜しい。そこで死体を買ってくれる人を募集する」という内容で、次のような条件も付けていた。

 「仮に千円(死馬の骨と同額)で買取るとすれば、契約時に半分は保証金として前払いする。あとの半分は死体と引き換え(友人たちの飲み代)。前払いの半分で死体の解剖料と保存料を東大医学部精神科に前納しておく。オイサキ短い者です。至急申込み求む ゆえに死体は引き取らずに、すぐに同科へ寄付してよろしい。 半狂堂主人の死体解剖骸骨保存、呉秀三博士と杉田直樹博士が待ち受けているはず。 オイサキの短い者です。 至急申込みを求む」 

 が、もちろんこの広告に対して読者からの反応はなかった。