アラン・バンクス

アラン・バンクス(Alain Vincx 1946年生)
 [ベルギー・スタントマン]



 ヨーロッパの映画界では、かなり有名で、アラン・ドロンなどの、大物俳優のスタントを一手に引き受ける、「影の大スター」と言われ、活躍していた。

 1987年5月29日、オランダのザントフォールト・サーキットで開催されたスタントショーは、「燃え盛るバスの中を車で潜り抜ける」というものだった。固定したバスの後部ガラスから車で飛び込み、そのまま車内を突き抜けてみせるというのだ。消防チームを待機させ、本人もコンディションは最高だった。

 妻をはじめ、多くの観衆が見守る中、ショーが始まった。ヘルメットを着用し、レーシングスーツに身を包んだバンクスはカマロに乗り込み、勢いよくアクセルを踏み込んだ。カマロはそのままスピードを上げジャンプ台からバスへと飛び込む。同時に火の手が上がった。その直後、カマロはバスのフロントガラスを突き破って前方に着地。スタントは成功したかに見えた。

 ただ、違っていたのは、カマロの屋根が丸ごと削り取られていたことだ。そしてスタッフが血相を変えて駆け寄っていく。運転席でいつものようにガッツポーズを見せるはずのバンクスは、そのヘルメットごと頭部を失っていた。

 1987年5月29日死去(享年40)