永野一男(ながのかずお 1952年8月1日生)
[実業家]
二人は張り込んでいたガードマンに「永野に会わせろ」と要求。連絡を取るためにガードマンが階下に下りた後、二人は元部下の被害者6人から「もう金はええ、永野をぶっ殺してくれ」と頼まれたと報道陣に語った。そして窓の格子を蹴破り、窓ガラスを破って侵入、永野の頭部など全身13箇所を銃剣で刺した。当時永野の住んでいた部屋のドアの前などには大勢のマスコミがいたが、あまりにも突然の出来事で驚き、誰も止めようとはしなかった。永野は直ちに病院へ運ばれたが、腹部を刺されたのが致命傷となり、出血多量により約40分後に息を引き取った。この時の永野の所持金はわずか711円だった。部屋から出た犯人らは、「警察を呼べ。俺が犯人や」と報道陣に語り、その場で逮捕された。
永野が惨殺された際の映像はNHKや民放テレビ各局で中継された。この時NHKは「子供には見せないでください」と慌ててアナウンサーが呼びかけた。その後発売された『FOCUS』では、犯人の一人が血塗れで断末魔の形相の永野を抱え、もう一人が銃剣を持つ写真が誌面を飾った。
その後の詐欺事件の捜査で豊田商事が集めた金の殆どが流用されて、残っていなかったことが判明するが、最高幹部が死亡したため、金の流れに関して解明が難しくなった。結果的に捜査に支障をきたしたので、犯人は関係者に口封じのために殺人を依頼されたのではないかといった憶測も流れた。
また、名だたる大物政治家に多額の闇献金を行っていたという噂もあったことから、自分のところまで捜査の手が及ぶのを心配した政治家が放った刺客により、殺害されたという話も存在する。
結局、生前語っていた「顔を知られると殺される」は現実のものとなってしまった。尚、「女房に累が及ぶ」との理由から結婚せず、生涯を未婚で通した。
1985年6月18日死去(享年32)