三橋節子

三橋節子(みつはしせつこ 1939年3月3日生)
 [画家]



 大阪府生まれ、京都府育ち。京都芸術大学美術学部出身。秋野不矩に師事。翳りのあるタッチと幼子へのまなざしが大きな特徴。異国風俗を題材とした作品を制作し、新制作展で新作家賞を連続受賞。また日本画家の鈴木靖将と結婚し、滋賀県大津市に居住。晩年には地元近江の昔話を基にした作品を多く手がけた。

 1973年に利き手の右手を鎖骨の癌により手術で切断。手術した時点で肺への広範囲の転移が認められ、余命は最長でも5年と宣告されたが最後まで個を失うことはなかった。その後は左手で創作を続け、『花折峠』で滋賀県芸術祭賞受賞したが、不幸にも35歳の若さで癌の転移により他界した。画業に傾ける情熱は、今なお作品に残されていて色あせていない。

 彼女は当時5歳の長男・草麻生(くさまお)と、当時3歳の長女・なずな向けに、最後の手紙を遺している。
 「くさまおくん おげんきですか おたんじょうびはたくさんプレゼントもらってたのしかったですね すぐこわしたりしないでだいじにあそぶのですよ このごろはひとりでようちえんへいけるそうですね もう5つのおにいちゃんですものね きょうはたくさんゆきがふっていますね どのくらいつもるかな またゆきだるまをつくったりこうえんでソリができたのしみですね ではさよなら△またきて□ またびょういんにもきてねバイバイ」

 「なずなちゃん おげんきですか きょうはたくさんゆきがふっていますね ゆきやこんこんあられやこんこん♪・・・ なーなーはこたつでまるくなっているのかおにわをかけまわるほうかどっちかな おにいちゃんとけんかをしないでなかよくしていますか またこうえんでソリにのりましたか おじいちゃんおばあちゃんもかぜをひかれたそうでみなさんにごめいわくかけすみません よろしくね かあちゃんのかわりにおばあちゃんのおてつだいしてあげてね じゃバイバイまたきてね」

 1975年2月24日死去(享年35)