多田雄幸

多田雄幸(ただゆうこう 1930年4月10日生)
 [ヨットマン]



 新潟県生まれ。史上初の世界一周単独ヨットレース「アラウンド・アローン」(BOCレース)の クラスII に、手作りのヨット「オケラ五世号」で出場。横転、座礁などの数々の苦難に遭遇するが、自力で修理しながら走りつづけ、見事優勝を果たした。

 トランペット、サキソフォン、キーボード等の楽器の我流演奏を好み「エンターティナー・ユーコー」の名で呼ばれ、その人づきあいの良さとユニークな性格から、ヨット仲間だけでなく、レース主催者や新聞記者、他の一般人まで、多くの人々から愛された。ヨットの資金稼ぎは個人タクシーの運転手の仕事で行っていたという珍しいヨット乗りであった。

 1990年 第三回BOCレースに参加。予定通りアメリカ合衆国ニューポートからスタートし、最初の寄港地ケープタウンにも無事入港。出迎えの人々にサックスを吹いて聞かせた。同港を出発後、速度を増すために小さくしたキールのせいもあり、寒さ厳しい南氷洋で船が何度も横転した。その時、無線機・電子機器・CDプレーヤなどを破損。大好きな音楽も聴けなくなる。シドニーへの寄航は6艇中5位、前回の好成績から高まった周囲の期待に相当な重圧を感じていた多田は憔悴していたという。シドニーでレースを棄権した後、1991年3月8日、滞在先のシドニーのホテルで首吊り自殺を遂げた。

 1991年3月8日死去(享年60)