セス・パットナム

セス・エドワード・パットナム(Seth Edward Putnam 1968年5月15日生)
 [アメリカ・ミュージシャン]



 マサチューセッツ州ボストン出身。1988年、ロックバンド「アナル・カント(Anal Cunt)」を創設。バンド名が「肛門・女性器」である為に「AxCx」「A.C.」と略称表記されることが多い。初期のスタイルは即興性を重視しており、ノイズを掻き鳴らすギターとひたすらブラスト・ビートを繰り出すドラム、そして凄まじい絶叫を轟かせるヴォーカルが絡み合うといったもので、メロディは皆無(曲の長さも5秒から1分弱)、まさに混沌の極みであった。

 1989年に3時間以上にわたる演奏を合計11分ほどの曲に編集した「5643 song EP」というタイトルの5643曲入りシングル・レコードで、アンダーグラウンドの音楽シーンで知名度を広げることになった。「ノイズ・グラインド」とも呼ばれたこの時期の音楽性は、世界中のグラインド・コアバンド、ノイズバンドに影響を及ぼし、数多くのフォロワーを生んだ。しかし、度重なるメンバー交代とセス・パットナムの音楽的嗜好の変化によって、フルアルバムを発表する毎にそうした即興性とノイズは次第に影を潜めていった。

 歌詞は人気ミュージシャンや著名人に対する誹謗中傷、女性・同性愛者・キリスト教・人種・フェミニズムを侮蔑、挑発する内容のものが殆どを占め、同じ音楽シーンで活動しているグラインド・コア、ハードコア・パンク、デス・メタルのバンドやそのメンバーを名指しで罵倒したものもあり、トラブルに発展したこともあった。

 2004年10月、セス・パットナムが薬物過剰摂取によって昏睡状態に陥った。担当医は延命のためのチューブを外すことも真剣に検討したという。幸いにして約2ヶ月後に意識を回復。脳神経に生じた後遺症によって半身が麻痺したが、リハビリによってそれを克服し、すぐにバンド活動を再開した。

 その後も解散と再結成を繰り返しながら活動を続けていたが、2011年6月11日に薬物過剰摂取による心臓麻痺で死去。20年近くに渡る活動に幕を下ろすことになった。

 2011年6月11日死去(享年43)