レイモンド・ワシントン

レイモンド・リー・ワシントン(Raymond Lee Washington 1953年8月14日生)
 [アメリカ・ストリートギャング]



 1969年、レイモンド・ワシントンは15歳の時にベイビー・アヴェニュー(Baby Avenues)と呼ばれるストリートギャング組織を設立し、スタンリー・ウィリアムズ、マック・トーマスらを含めた他数名のメンバー達と共に、カリフォルニア州ロサンゼルスのサウスセントラル地区を拠点に置いた。

 1971年、ベイビー・アヴェニュー・クリブス(Baby Avenue Cribs)と改称。その後、クリップス(Crips)という呼称が組織内で共通になっていった。クリップスの構成員は帽子やバンダナなどの衣類の一部に青色を用いる事が知られている。カラーギャングとして徐々に勢力を伸ばしていたが、肥大化しつつある組織の取りまとめに苦慮するようになり、創設当時の志を知らぬ新規メンバーの身勝手な行動によって、クリップスによる犯罪が頻発するようになった。

 1972年以降、クリップスによる犯罪はさらに凶悪さを増し、象徴ともいえる黒いレザージャケットを得るために、若い世代による強盗が頻発するようになり、殺人事件も起こすようになった。また、敵対するストリートギャング組織「ブラッズ」との激しい抗争を繰り広げていた。彼らの活動が社会問題となった事により、青色を身に着けている事で警察の厳しい取締りを受けるようになったため、その後やや暗色な紺色が用いられるようになった。因みにギャングスタラップで有名なスヌープ・ドッグは元構成員であり、自身の楽曲のMVで青色の服装をしているのがよく見られる。


 1974年、21歳のワシントンは強盗罪で逮捕され、カリフォルニア州で懲役5年の実刑判決を受けた。1979年にはスタンリー・ウィリアムズが台湾人一家4名の殺害容疑で逮捕されると徐々に組織は創設メンバーの手を離れて行く事になった。

 出所後ワシントンは、再び組織をまとめようと試みたが、若きメンバーと反りが合わず組織から距離を置くようになった。そして1979年8月9日午後10時頃、ワシントンはロサンゼルスのサンペドロ通りで、車に乗った何者かに銃撃され死亡した。容疑者は逮捕されておらず、ワシントンの殺害は未解決のままである。ワシントンは警戒心が強く、知らない人には近付かないことで知られていたが、目撃者の証言によると、ワシントンは車に乗った人物と会話をしていたとみられている。このことから車の人物を知っていた可能性が最も高く、犯人はフーヴァー・クリップスのメンバーという説が有力視されている。

 1979年8月9日死去(享年25)