飯島夏樹

飯島夏樹(いいじまなつき 1966年8月19日生)
 [プロウィンドサーファー]



 東京都生まれ。高校時代には水泳選手であったが、腰の故障で水泳の継続を断念した。卒業後は沖縄の大学に進学し、ウィンドサーフィンと出会った。アマチュアとして米国ゴージの世界大会に出場して活躍の後、プロに転向した。大学を中退してハワイに移住、ワールドカップのほか、日本国内外の大会で数々の戦歴を残し、日本のトップウィンドサーファーとなった。

 1995年、グアムに移住。ココス島にてマリンスポーツセンターを起業し、日本人観光客を対象としたマリンスポーツ業を行うかたわら、現地で中田英寿らスポーツ選手のコーディネイトも行った。さらに、ウィンドサーフィン専門誌「Hi-Wind」などにエッセイを連載、ダイナミックな人柄を素直に記した文章を持ち味としていた。

 2002年6月、肝細胞癌と診断される。翌年3月、肝移植を受けようと日本に移住した。しかし日本では「移植には適さない」とのセカンド・オピニオンを受け、その後はうつ病とパニック障害を併発した。家族や友人らの支えもあって、うつ病とパニック障害はほぼ克服したものの、肝臓癌は二度の手術や様々な治療にもかかわらず悪化した。2004年5月には、肝細胞癌とは異なる肝臓癌である「肝類上皮血管内皮腫」と診断されたが、もはや致死的であることを宣告された。

 癌を発病して以来、「自分が生かされている」ということを徐々に体感し、偶然出逢った執筆活動に生き甲斐を見いだした。2004年7月には、医師とガン患者を主人公とした処女小説、『天国で君に逢えたら』を刊行、癌や死という重いテーマを扱いながらも爽快な読後感を与えるとしてベストセラーとなった。

 同年8月、慣れ親しんだハワイに妻と子供4人で移住。後にマキキ聖城教会で黒田朔牧師から洗礼を受け、クリスチャンになる。「最期のときまで物書きを続けたい」と、ネット連載『今日も生かされてます』で精力的に執筆活動を続けていたが、2005年2月28日23時50分、妻が見守るなか死去した。

 飯島の死後、ネット連載を単行本化した『ガンに生かされて』、および小説の続編『神様がくれた涙』もベストセラーとなった。2007年8月25日より、飯島の生涯を綴った映画『Life 天国で君に逢えたら』が日本において公開された。

 2005年2月28日死去(享年38)