ボリス・ヴィアン

ボリス・ポール・ヴィアン(Boris Paul Vian 1920年3月10日生)
 [フランス・作家/詩人]



 パリ郊外のヴィル=ダヴレー生まれ。『日々の泡』、『北京の秋』など前衛的な作風の小説で知られる。また1940年代後半に、脱走兵の黒人作家と称してヴァーノン・サリヴァンのペンネームで通俗的で暴力的なハードボイルド小説を執筆していたことも知られている。ジャズ批評やアメリカ文学の紹介などの分野においても顕著な功績を残した。また、セミプロのジャズ・トランペット奏者としても名をはせ、余技として歌手活動もおこなった。

 ヴィアンは、長年心臓に欠陥を抱え、不整脈に苦しんでいた。トランペットを吹くことは心臓病を抱えたヴィアンには危険なことだったが、彼本人は意に介していなかった。むしろ自分で「40になる前に死ぬよ」と常々語っており、短命を予感していたようである。

 1959年6月23日の朝、論争の的となっている映画化された『墓に唾をかけろ』の試写会のため、ヴィアンはシネマ・マルブッフの館内にいた。ヴィアンはプロデューサーと作品の解釈を巡り、何度も衝突してきた。そして、その日もエンドロールで流れる制作関係者名から自分の名を外したがったヴィアンは、この映画を公然と非難した。映画が始まって数分後、伝えられるところによると、ヴィアンはこのように口を滑らせたと言われている。「こいつらはアメリカ人になったつもりなんだろうか?馬鹿にしやがって!」。その直後、急な心臓発作に見舞われたヴィアンは座席に倒れ込み、病院へ搬送される途中に息を引き取った。

 1959年6月23日死去(享年39)