真弓

『この子の七つのお祝いに』より



真弓(演者:岸田今日子)
 終戦直後の混乱期、真弓は上海で高橋佳哉という男と出会い、二人は強制収容所送りを逃れるために結婚した。日本へ送還されたのち女児・麻矢を出産。家族三人で幸せな生活を送っていたが、ある日麻矢がネズミにかじられ死んでしまった。哀しみの余り真弓は精神が壊れていく。一方、酒に溺れていた夫の高橋は、生き別れになっていた元妻・ミヤコと偶然再会し、彼女との間に女児・キエを授かった。そして高橋は真弓に巨額な手切れ金を渡し、ミヤコの所へ去って行った。

 ある日、真弓は高橋たちが住む家に侵入し、ミヤコが目を離した隙にキエを誘拐すると、自分の娘・麻矢として育てはじめた。真弓は麻矢に「お父さんは私達を捨てて他の女の所に行った悪い人。恨みなさい、憎みなさい。大きくなったら必ず仕返しをしなさい。」と毎日毎晩就寝前に教え込んだ。そして麻矢が七歳の正月に真弓は剃刀で手首と頚動脈を切って自殺した