高倉健

 あの高倉健にもまことしやかに死亡説が流れたことがある。エイズにより死亡というものである。そもそも高倉には同性愛説が根強く、ニューヨークの恋人のところで死んだなど、なぜか海外で亡くなったことにされた。



 1987年5月頃、フランスのパリに滞在中に失踪したと一部マスコミが報じ、更に「現地の病院でエイズの治療を受けていたが病状が悪化、死亡した」という怪情報が流れた。実際は高倉は長期休暇を取り旅行をしていただけで、都内の自宅に戻ると玄関先に張り込んでいた報道陣から質問攻めを受けた。さすがにこれには高倉も憤慨し、テレビカメラの前で「帰ってきたら変な記事(死亡説)書かれててさ、迷惑してるのはこっちなんだ」「パリになんか行ってない。(では何処へ行っていたのかと問われ)プライベートはどうでもいいじゃないか。おかしな話に仕立てたのはあなたたちでしょう」と強い口調で噂を否定。高倉はその場で「後日にきちんとしたことを話す場所を設ける」と告知し、後に記者会見を開き公式発言を行う異例の事態に発展した。会見では高倉は打って変わって穏やかな様子で、「一度殺されて(死亡説を流されて)考えてみれば、命には限りがあるものなんだなと思いました」と笑顔でジョークを飛ばし記者たちの笑いを誘った。

 2014年11月10日、悪性リンパ腫のため83歳で死去。以前に前立腺癌で手術を受けて寛解したものの、その定期検査で悪性リンパ腫が発見されて療養していた。「入院中の姿を見せたくない」と親しい関係者だけにしか知らせていなかったという。