犬神松子

『犬神家の一族』より



犬神松子(演者:高峰三枝子)
 犬神佐兵衛の三人の娘の長女。夫とは既に死別している。いつも凛とした佇まいをしていて勝気。細いながらも竹のように強靭な体格。キセル煙草を愛用している。

 異母妹に竹子と梅子がいるが、互いに犬猿の仲。父・佐兵衛のことも、母を正式な妻とせず生涯日陰の身として冷遇されたと思い恨んでいる。1人息子の佐清を溺愛しており、佐兵衛の直系である佐清が犬神家の主となることを願っている。

 顔に傷を負って戦地から復員してきた佐清に特注のゴム製マスクを着けさせて遺言状の公開に臨むも、願いもむなしく最低限の取り分しか得られぬ内容に激昂。遺産を佐清に独占させるために邪魔な甥達を殺害した。

 金田一によって真相が暴かれると、異母妹達に謝りながら、父の怨念から逃れられなかったと懺悔。佐清が犬神家の後継者に決まったことを見て安心した松子は、すべての罪を清算すべく、毒を仕込んだキセル煙草を吸って自殺した。