ヴァージニア・ラッペ

ヴァージニア・ラッペ(Virginia Rappe 1891年7月7日生)
 [アメリカ・女優]



 ニューヨーク州ニューヨーク出身。14歳の時、シカゴでモデルとして活動を始めたが、1916年に映画進出のためにロサンゼルスへ移った。1917年の春には女優として働くようになり、1919年には映画監督のヘンリー・レアマンと恋愛関係に発展した。レアマンの作品には4本出演した。

 1921年9月5日、サンフランシスコの高級ホテルにおいて喜劇役者のロスコー・アーバックルが主催するパーティに参加したときに事件は起こった。当初、伝えられたところによるとアーバックルに強姦されたことによって彼女の身体に何らかの症状が生じたとされる。そして9月9日、膀胱破裂に起因する腹膜炎により死亡した。パーティには数多くの人間が参加していたが、同時に警察の聴取に対して多くの目撃情報に矛盾が生じた。メディアは瞬く間に事件を大きく取り上げ、映画業界の醜聞として大きく報じ、全米を震撼させる出来事となった。

 当時の噂では、アーバックルにコーラの瓶を局部に挿入されたというものや、事件以前から男性との関係を多く重ねていた彼女の度重なる妊娠中絶や淋病などによる合併症を原因にするものもあった。アーバックルは起訴されたが「そのような事実は無かった」と訴え、その後の公判によって証拠不十分で無罪を勝ち得ている。

 しかしながらスキャンダルの影響は大きく、世間のハリウッドに対する風当たりは厳しくなり、アーバックル作品が各都市で上映禁止になるなどした。当時人気絶頂だった彼の人気は完全に消え去る結果となり、表舞台に復帰することはなかった。現在でも「映画界の汚点」という見方や、逆に「映画界の被害者(過小評価されている)」という見方が乱立している。事件においても長く検証がなされてきたが、やはり真相解明には至っていない。

 1921年9月9日死去(享年30)