ヴィクター・キリアン

ヴィクター・アーサー・キリアン(Victor Arthur Kilian 1891年3月6日生)
 [アメリカ・俳優]



 ニュージャージー州ジャージーシティ生まれ。キリアンは18歳のときヴォードヴィルの一座に加わってその経歴をスタートさせた。1920年代の半ばにはブロードウェイで演劇に出演し、1920年代が終わる頃には映画界入りを果たした。その後約20年間、彼は性格俳優として、映画『トムソーヤーの冒険』(1938年)の保安官役のような脇役や端役を多く演じて成功を収めた。キリアンがしばしば演じたのは悪役であり、1942年の映画撮影でジョン・ウェインと乱闘シーンを演じているときに、彼は眼に重傷を負い、片目を失うことを余儀なくされた。

 1950年代、赤狩りの時期にキリアンは彼の政治的信条によりハリウッド・ブラックリストに挙げられ、映画への出演ができなくなったため、舞台に復帰して生活の糧を得ていた。赤狩りの終焉後、キリアンはテレビドラマシリーズへのゲスト出演を始めた。テレビドラマでの最もよく知られた役柄はドラマ『メアリー・ハートマン、メアリー・ハートマン』(1976年)のラーキンお祖父ちゃんである。

 私生活において、キリアンは46年にわたってデイジー・ジョンソンと連れ添ったが、その結婚生活は1961年のデイジーの死によって終わった。キリアンはハリウッドのアパートメントで単身で暮らしていたが、1979年、88歳のときに強盗の被害に遭い、殴打されたことが原因で死亡した。犯人が見つからず迷宮入りとなっている。一説によると犯人は映画関係者ではないかと言われているが真相は不明。キリアンはロサンゼルスのウエストウッド・メモリアルパークに埋葬されている。ちなみに、ハリウッドのチャイニーズ・シアターでは、キリアンの幽霊が度々出没することで知られている。

 1979年3月11日死去(享年88)