bice

bice(ビーチェ 本名:来嶋優子 1972年4月11日生)
 [シンガーソングライター/作曲家]



 埼玉県出身。武蔵野音大付属幼稚園時代から音楽に親しみ、隣人から貰ったオルガンを弾き始める。その後すぐクラシック・ピアノを習い始め、小学校中学年からフルートも習う。中学生のときにYAMAHA Portatoneを買いシンセの音色に興味を持つようになり、ラジカセ2台で多重録音を始める。中学2年で作詞・作曲したオリジナル曲「AGE」により、1987年TEENS' MUSIC FESTIVALの東京地区予選大会でベストアイドル賞を受賞。高校生になってからはTASCAM Porta 05を買い、知人からKORGのリズム・マシンを譲ってもらいMTRに録音するようになった。その後KORG T2を買いシーケンサーを使って曲を作るようになり、プロとして活動する頃にはMacintoshに移行していった。当時女性で自らコンピューターを使って打ち込みをするアーティストは珍しく類い稀な存在であった。

 1994年にシンガーソングライターとしての活動を開始。1998年4月、ミニアルバム『Spotty Syrup』が外資系レコード店を中心にスマッシュヒット。同年7月にポニーキャニオンよりマキシシングル『bice』でメジャーに進出。2000年、当時設立されたばかりのソニー傘下のメジャーレーベル、アウトグループ・レコードに移籍したが、それから半年も経たずして親会社アウトサイドが突然解散したため、発表したばかりのシングル『ツイオク』はすぐに廃盤、リリース目前であったアルバムは発売中止となり、再移籍を余儀なくされた。

 2001年に徳間ジャパンに移籍後は、発売中止を乗り越えたアコースティック基調のスタジオ作品『Nectar』、自宅録音を中心とした意欲作『let love be your destiny』、と代表作となる2枚のアルバムを発表し、評価を確立する。この2枚を聴き、その才能に瞠目した小西康陽の招きにより、コロムビア・レディメイドに移籍し、2008年に最後のアルバムとなった『かなえられない恋のために』を発表した。

 1999年から自身の活動と平行して、他のアーティストへの楽曲提供、編曲を本格的に始める。また渡辺善太郎のソロプロジェクト「atami」や、カジヒデキ、SUGIZO、NORTHERN BRIGHTなどの作品への歌手としての参加、英国のフォーク・バンド、チューダー・ロッジ日本公演の演奏サポート、テレビドラマやテレビアニメのサウンドトラック、CM音楽の製作など多岐にわたった活躍を見せ、2004年には、作編曲・歌・ナレーションを担当した松下電器産業のCMが第33回フジサンケイグループ広告大賞メディアミックス部門グランプリを受賞した。

 2010年7月26日、心筋梗塞のため自宅で亡くなっていたことが公式ホームページにて彼女の夫である来嶋勇人により、7月30日に公表された。ブログ更新から2日後の急逝であった。7月24日付のブログは、「ご無沙汰しています。私は暑さにダウンしておりますが、お元気でしょうか?最近だと、ある人気アニメに歌ものの曲かいたりしてるよ。リリースはちょっと先になるけど、楽しみにしててね。ところでところで、iPadは無いとなんか不安になる感じ。怖いねーーー。でも、スカイプしかしてない???かも。この間、長期の福岡滞在のときにカフェにiPad置き忘れて、かなり焦りました。私ってホントにおっちょこちょいだわん。」という内容だった。

 葬儀・告別式は近親者のみで行われ、2010年8月8日、関係者により「biceを送る会」が営まれた。

 2010年7月26日死去(享年38)