エヴァ・ヘス

エヴァ・ヘス(Eva Hesse 1936年1月11日生)
 [アメリカ・彫刻家/画家]



 ドイツのハンブルク生まれ。両親はユダヤ人。ナチスの迫害を恐れて、1939年には一家でアメリカ合衆国のニューヨークに移住した。両親は離婚し、母は自殺している。アメリカ国籍を取得し、1952年から1953年にかけてブルックリンのプラット・インスティテュートで学び、1957年から1959年まではイェール大学の絵画彫刻スクールでジョセフ・アルバースに絵画を学んだ。抽象表現主義的傾向をもつ絵画を描き続けていた。大学の友人で彫刻家のトム・ドイルと結婚した。1959年にはイェール大学を卒業した。

 1964年から1965年にかけて、夫とともにドイツに滞在して製作を続けた。この時期に製作対象が絵画から彫刻作品へと劇的に変化し、有機的・繊細で柔らかい形態を特徴とする抽象彫刻が生み出されていった。1965年、ニューヨークに戻ってから数か月後にドイルと離婚。以後、立体作品を中心に精力的な製作を続け、ガラス繊維強化プラスチックなどを素材にしたミニマリズムを経由した有機的印象を与える立体作品、ひも状の形態、ひもで吊られた立体などを発表した。

 脳腫瘍で3度の手術を行った後、34歳だった1970年に死去。病床で構想された遺作は、包帯で巻かれた大きなミミズのような立体群であった。

 1970年5月29日死去(享年34)