戸塚睦夫

戸塚睦夫(とつかむつお 1931年4月20日生)
 [喜劇役者]



 東京都出身。父は剣劇俳優として活躍した藤岡肇。東京市立芝商業學校を卒業後時計メーカーに勤務したのち梅沢昇一座、浅香光代劇団、不二洋子劇団を経て、浅草のロック座、池袋のフランス座などのストリップ小屋のコメディアンに転向して辛酸を嘗めていた戸塚は、浅草の花月劇場に剣劇役者として参加していた際に、同じ浅草の奥山劇場で剣劇役者をしていた三波伸介に出会い、交流を深める。1955年移籍し、新宿フランス座の専属となっていた三波と同劇場でも同じ舞台に立つ。

 1958年6月新宿フランス座のコメディアン石井均の独立に戸塚も同行し、フランス座隣の松竹文化劇場で「笑う仲間」として旗揚げしたが諸事情から「石井均一座」に再編、ここで伊東四朗、財津一郎らと知り合う。1961年、石井均一座が解散。三波・伊東と共に『ぐうたらトリオ』を結成。翌年『てんぷくトリオ』と改名した。てんぷくトリオでの戸塚は大ボケ役で活躍し、台本にない台詞を言って三波を驚かせることがあった。それが三波のギャグ「びっくりしたなあ、もう」につながったと言われる。

 てんぷくトリオは次第に人気が出てきて舞台やテレビでの活動が増えていく。1967年には『てなもんや三度笠』甲州編に出演。1972年からNHK『お笑いオンステージ』内の『てんぷく笑劇場』に出演するが、その後間もなく病気により休養、入退院を繰り返していた。翌1973年5月12日に、新宿の国立医療センターで逝去。死因は肝硬変であった。

 1973年5月12日死去(享年43)