愛犬の死亡広告

 舞踏家の長嶺ヤス子は、1986年5月16日付の朝日新聞朝刊に、愛犬の死亡広告を写真入りで出して物議をかもしたことがある。



 「生涯の伴侶だった愛犬ピピが五月十日午前四時四十五分に永眠しました。生前のご厚誼に感謝を申し上げます。なお告別式は左記の通り執り行います。

 五月二十一日午後三時-四時

 常楽院(東京都板橋区前野町四~二十~八)

 長嶺ヤス子



 長嶺は17歳9ヶ月で老衰死した愛犬ピピを「生涯の伴侶」と語るほど情愛を注いでいた。昨今では、ペットは家族の一員として捉えるのが一般的だが、当時この広告を目にした読者などからは「非常識な考え方」「人間より犬のほうが大事なのか」「そんな金があったら施設等の寄付にまわせ」はては「エゴイストの反社会的行為」などと言った批判が巻き起こった。ちなみに葬儀には約200人が参列したという。