オーストリアケーブルカー火災事故(2000年11月11日発生)
[オーストリアのカプルンにあるケーブルカー「Gletscherbahn
2」のトンネル内でおきた火災事故である。この災害により日本人10人含む155人が死亡、12人が生存した。キッツシュタインホルンのスキー場に行く途中の事故であった。]
動力の一切ないケーブルカーは火災を想定した設備及び車内放送すらなく、乗員の乗客への誘導や指示等も不可能であった。なお、犠牲は出したものの延焼は免れたもう1両の車体調査から、原因は『運転席の暖房目的の為、違法に設置された家庭用ファンヒーター』が引き金になったと言われている。
この事故での犠牲者は、オーストリア92人、ドイツ37人、日本10人、アメリカ8人、スロベニア4人、オランダ2人、イングランド1人、チェコ1人。この内日本人犠牲者は、元全日本スキーデモンストレーター出口沖彦、福島県猪苗代町立猪苗代中学校スキー部員4名、慶應義塾大学スキー部員2名等、スキーメーカー主催のキャンプに参加中の一行であった。出口沖彦は、猪苗代中学校の生徒であった愛娘と同時に事故に遭った。また、ドイツ人37人の中には女子モーグル代表で1999年フリースタイルスキー世界選手権デュアルモーグル女王のサンドラ・シュミットも含まれていた。
事故後ケーブルカーの運行は再開されることなく、その後は24人乗りのケーブルカー「Gletscherjet
1」が代替手段となった。また駅、トンネルは閉鎖され現在も使われていない。
2004年2月19日、オーストリア・リンツ高裁のマンフレッド・シュッツ裁判長は、火事を招いたという容疑の証明が不十分として、会社役員、技術担当者、政府検査官ら16人に対して無罪を言い渡した。