橋本和美

橋本和美(はしもとかずよし 1978年12月21日生)
 [オートレース選手]



 埼玉県出身。川口オートレース場所属の若手では中堅といった位置の選手であった。川口所属の26期生の中では最も早く優勝をしているなど、将来を嘱望されていた。ファンサービスにも積極的で、イベントやチャリティーオークションなどに積極的に参加したり、フットサル大会に参加したりしていた。その人柄の良さから先輩レーサーには可愛がられ、後輩レーサーからは兄貴分と慕われていた。

 しかし、2006年10月13日、平成18年度埼玉県営第2回第2節初日、朝のスタート練習の際に内側の大木光がスタートに失敗、大きく膨れた大木を回避しようとした橋本は咄嗟に車を外に向けたが、その際に落車。更に、アウトコースを走行していた阿部剛士に激突され受傷。緊急措置が施され、意識不明の状態のまま川口市立医療センターへ収容されたが、手当の甲斐もなく同日午後0時25分、頸椎損傷により殉職した。川口オートレース場は走路改修が2006年8~9月に行われたばかりで、タイヤの食いつきがよく、レースのスピードが上昇していた。

 選手としての功績は決して大きくはなかったが、その死がオートレース界に与えた衝撃と影響は小さなものではなかった。ダート時代多くの選手が殉職し、殉職には至らないまでも、後遺症が残るほどの重傷を負って引退を余儀なくされた選手は枚挙に暇がなく、それ故に、他の競技以上に「安全」を徹底してきたオートレース界にとって、橋本の殉職事故は、競走車の性能向上によるレースの高速化と、走路改修の方法に関する問題点等を浮き彫りにした。

 事故翌日の10月14日、朝練習前に走路内の事故現場において神道形式のお払いと追悼式が選手全員参加によって行われた。11月6日に川口オートレース場にて合同葬が営まれ、関係者・選手400名以上が参列。一般のファンも150名が参列した。

 2006年10月13日死去(享年27)