佐々木味津三

佐々木味津三(ささきみつぞう 本名:佐々木光三 1896年3月18日生)
 [小説家]



 愛知県出身。旧制愛知一中を中退した後、明治大学政経科を卒業。雑誌記者のかたわら小説を書き、1919年『大観』に載せた「馬を殴り殺した少年」で菊池寛に見出される。文壇に姿を現した当初は純文学を志していたものの、父親が遺した借金の為に経済的環境が厳しく、長兄を早くに亡くした事で家族を養い、また家の負債を返す必要が生じたために大衆小説に転向。当時は格下といわれていた大衆向け小説を書くことに抵抗を感じたが、芥川龍之介から激励を受け感激し、そのことが後々まで影響したと自著に記している。

 『右門捕物帖』『旗本退屈男』など主に江戸時代を舞台にした時代小説を発表し、その当時の花形作家となる。しかし、自らの体力を削って無理な執筆を重ね、そのため健康を害してしまい、若くしてこの世を去った。その死は、現在でいうところの過労死であるといわれている。また、小説家として成功した後は弟や妹一家を東京に呼び寄せ、家計の面倒も見たという。佐々木の代名詞ともなった作品『旗本退屈男』は、昭和5年にこれを読んだ市川右太衛門が気に入って映画化。以後右太衛門の主演代表作となり、計31本の大ヒットシリーズとなった。以来、現在に至るまで度々映画やテレビドラマ化され高い人気を得ている。

 1934年2月6日死去(享年37)