クロスエア3597便墜落事故(2001年11月24日発生)
[スイスのチューリッヒ近郊で発生した航空事故である。この事故で、乗員乗客33人中24人死亡した。]
この墜落事故は当初、管制官の管制ミスが疑われたが、2004年1月に航空事故調査事務局はパイロットの操縦ミスによるものと決定付けた。同パイロットは視界が悪かったにもかかわらず、アプローチ中に規定の最低飛行高度以下で飛行し、木の梢に接触した。パイロットはこれに気づいて再上昇したが、間に合わなかったと見られている。
また、同パイロットは、パイロット試験を何度も落ち、適性を疑問視されていたが、懸命の努力で試験に合格して、クロスエア航空に入社した後、同社の急速の発展でパイロットの人材が不足したため一気に昇進して機長に上り詰めた。形式上、機長に昇進したとはいえ適性のなさは覆い難く、スイスに着陸するところを間違えてイタリアに着陸しようとしたり、その他熟練パイロットにはありえないミスを多発しており、周囲にそれに気付いてそのことを報告する者もいたが、なぜか経営陣はそのパイロットを機長から降格させることはしなかったという。
クロスエアの属するスイス航空グループは、同グループの中核企業のスイス航空が、世界的な景気後退の中、2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロの影響を受け、翌10月に経営が破綻したことから、グループ全体での再編を迫られていた。その最中での本件事故の発生は、スイス航空グループのみならず、テロの影響で経営面で体力が落ちている航空業界にとっては痛手となった。