深谷正一(ふかたにしょういち 1954年生)
[ゲームクリエイター]
1980年代中頃までのナムコのアーケードゲームを数多く手がけた、ゲームメーカーとしての黎明期のナムコ開発陣を支えた中心人物の1人。人望厚く、社内でも後輩から「神」、「天才」と呼ばれ崇敬される人物であった。遠藤雅伸をはじめ、当時のナムコに在籍した多数のプログラマーの育成を担った人物であり、現在のゲーム業界でも人材育成における師弟関係を遡ると深谷にたどり着く人物が多い。
1985年、深谷は腹痛を訴え早退し、翌日に入院するが容態は良くならず、10日間程の闘病の末、肝臓破裂によって急逝した。優秀な技術者でかつ人格者でもある深谷の人柄は周囲の人々に愛され、深谷へのスタッフの思慕の念は強く、突然の深谷の死が当時のナムコ開発陣に与えた衝撃は大きかった。死後しばらくの間にリリースされた幾つかのナムコ作品では、エンドロール等でスタッフの深谷への思いを込めたキーワードが織り込まれていた。とりわけ翌1986年にリリースされた『源平討魔伝』のエンディングはそれ自体がゲームの結末であると同時に、無念の死を遂げた深谷に捧げられたレクイエムとでも言うべき側面を持つ文面と演出になっている。